資格の学校TACだからできる! 警察官になるには?試験、面接、対策について詳しく解説

働く警察官の後ろ姿

 警察官と言えば、現場で奮闘する憧れの職業のひとつ!

 しかし、警察官になるには具体的に何をすればいいのでしょうか。「筆記試験や面接等があることは知っているんだけれど…実際どんな試験?」と悩まれている方も多いと思います。

 本ページでは、警察官になるためにはどうすれば良いか、基本的なところから具体的な試験内容、対策方法、合格のための情報の入手方法などについて解説していきます。

1.警察官になるには(試験・採用区分と受験資格)

採用区分が、はっきりと決まっている

 警察官になるために、まずは試験の「採用区分」「受験資格」を確認しましょう。採用区分は学歴(大卒・高卒等)ごとに区分が設けられています。また受験資格(試験を受けるための条件、年齢など)を満たさないと受験そのものができません。したがって、志望する都道府県の警察官試験について採用区分・受験資格は早めに確認しておきましょう。

 ここでは、採用区分に伴った試験問題のレベル受験資格についてご説明します(あくまで一例ですので、受験される方は志望する自治体の最新の採用試験案内をご確認ください)。

採用区分例と試験問題のレベル

  • 大卒程度試験

    【採用】警察官A・警察官Ⅰ類など
    【レベル】4年制大学卒業程度の学力が必要とされる試験。

  • 短大卒程度試験

    【採用】警察官Ⅱ類など
    【レベル】短大または専門学校卒業程度の学力が必要とされる試験。

  • 高卒程度試験

    【採用】警察官B・警察官Ⅲ類など
    【レベル】高校卒業程度の学力が必要とされる試験。

 試験問題の難易度や出題科目は試験区分によって異なります。
 例えば、大卒程度試験には4年制大学卒業程度の学力が必要とされる問題が出題され、高卒程度試験には高校卒業程度の学力が必要となる問題が出題されます。
 当然、採用区分ごとに必要な受験対策も異なりますので、自分が合格を目指す試験はどの採用区分か、事前にしっかりと確認しておきましょう

警察官になるには 流れ

受験資格

警察官採用試験では、受験資格として「年齢要件」と「身体基準」が設けられています。

年齢要件

 自治体や年度により異なりますが、21~35歳程度・大学卒業(卒業見込み)となっています。

警察官(大卒程度)年齢上限例

自治体名 年齢上限
埼玉県 34歳
千葉県 33歳
警視庁 35歳
神奈川県 35歳
京都府 30歳
大阪府 33歳

※上限年齢一覧表は、令和4年度試験の採用案内を元に作成しています。
※受験する際は、必ず最新の採用試験案内をご確認ください。
※警視庁の受験資格は各試験の1次試験日を基準として35歳未満となっています。

身体基準

 警察官採用試験(大卒程度)では、身長・体重・胸囲・視力などの身体基準が定められています。多くの試験では各基準に「概ね(おおむね)」と記載されており、比較的緩やかな傾向にあります(一部身体要件を撤廃の自治体もあり)が、本格的な学習開始前に各人事委員会に確認しておくことをおすすめします。

警察官(大卒程度)
項 目 男性 女性
身 長 160㎝以上 154㎝以上
体 重 48㎏以上 45㎏以上
胸 囲 78㎝以上
視 力 両目とも裸眼視力0.6以上
または矯正視力1.0以上
色 覚 正常であること
その他 警察官として職務遂行に支障のない身体状態であること。

 ❑〈参考〉警視庁2022年試験受験資格(警視庁HP採用案内)

 

 

                         Ⅰ類

(大学卒業程度)

昭和6242日以降に生まれた人で大学(学校教育法による大学(短期大学を除く。))を卒業又は令和53月までに卒業見込みの人

昭和6242日から平成1341日までに生まれた人で大学卒業程度の学力を有する人

 

                         Ⅲ類

(高校卒業程度)

昭和6242日以降に生まれた人で高校(学校教育法による高等学校)を卒業又は令和53月までに卒業見込みの人

昭和6242日から平成1741日までに生まれた人で高校卒業程度の学力を有する人

2.警察官の採用試験スケジュール

 警察官の採用試験スケジュールについて令和4年度の日程を参照しながら、ご説明します(年度によって試験日程は変わりますので、必ず最新の採用試験案内をご確認ください)。
 一般的に、警察官の採用試験(大卒程度)は、「1次試験」「2次試験」の2段階で実施されています。
 1次試験では、「筆記試験」が課されます。科目ごとの対策が必要な試験です。1次試験を合格したら、2次試験に進むことができます。2次試験は、「人物試験」とも称されるように面接や集団討論等が実施されます。「人柄」重視の試験であることが分かります。また、体力検査も2次試験で実施されることが多いようです。2次試験を合格すれば、最終合格となります。

採用までの流れ

採用までの流れ

では、令和4年度の実施状況を見てみましょう。まずは警視庁警察官Ⅰ類試験を皮切りに、各道府県で試験が実施されます。警視庁警察官Ⅰ類であれば、年間に3回試験が実施されます。他の自治体も複数回行う例がありますので、その都度出願すればその回数だけ受験チャンスがあるということになります。また、試験スケジュールを参考にして併願受験も検討してみましょう。

警察官(大卒程度)採用試験 実施状況

警察官(大卒程度) 一次試験実施日程 ※令和4年度実施
日程 試験種
4月 23日(土)or24日(日) 自衛隊幹部候補生
4月 30日(日) 警視庁警察官Ⅰ類①
5月 3日(日) 大阪府警①
5月 8日(日) 5月県警
7月 10日(日) 7月県警
9月 18日(日) 9月県警、警視庁Ⅰ類②、大阪府警②
1月7日(日) 大阪府警③
1月8日(日) 警視庁Ⅰ類③

 警察官の採用試験(大卒程度)は、5月・7月・9月にある程度まとめて1次試験が実施されています。また、多くの自治体が試験を年に複数回実施しており、併願受験がしやすい制度になっていることが分かります。

年に複数回の試験を実施!

  • 警察官採用試験(大卒程度)は、警視庁が年に3回、その他20程度の自治体が年に2回、試験を実施しています。また、同じ自治体を年に複数受験することも可能です。

共同試験でチャンス拡大!

  • 警察官(男性のみ)採用試験には、1度の受験で複数の(第二志望)の都道府県を志望先に選んで併願受験することができる「共同試験」という独自の制度があります。例年、各都道府県が協力して、半数以上の自治体で導入されております。

3.警察官試験と他の公安系公務員の併願


 警察官を受験される方は消防官・皇宮護衛官・海上保安官等、他の公安系公務員も併願されるケースが多くなっています。これらの試験は日程が被らなければすべて併願受験が可能です。

 まずは消防官試験の試験日程を見てみましょう。消防官は市町村単位での採用となっており東京消防庁消防官Ⅰ類の試験を皮切りに政令市消防・市役所消防職試験が実施されます。東京消防庁は、例年2回試験を実施するので、その回数分だけ受験チャンスがあります。政令市消防や市役所消防職については、事務・行政職試験と同日程で行う例が多くなっています。

消防官(大卒程度)試験 実施状況

消防官(大卒程度) 1次試験実施日程(令和4年度実施)
日程 試験種
5月 22日(日) 東京消防庁消防官Ⅰ類①
6月 19日(日) 政令市消防・市役所消防職A日程
7月 10日(日) 市役所消防職B日程(※予定)
8月 28日(日) 東京消防庁消防官Ⅰ類②
9月 18日(日) 市役所消防職C日程(※予定)

皇宮護衛官(大卒程度)・海上保安官(大卒程度)試験等 実施状況


 皇宮護衛官・海上保安官等の試験日程については以下の通りです。


皇宮護衛官(大卒程度)・海上保安官(大卒程度)・海上保安学校学生(特別) 1次試験実施日程(令和4年度実施)
日程 試験種
5月 15日(日) 海上保安学校学生(特別)
6月 5日(日) 皇宮護衛官・海上保安官

令和4年度の併願例

  
 消防官・警察官試験と併せて受験される方が多い傾向
にあります。試験日程の重複がないように併願日程を組む必要がありますのでご注意ください。警視庁を第一志望として併願を組むと下記のスケジュールになります。

 
令和4年度の併願例 
日程 試験種
4月 23日(土)or 24日(日) 自衛隊幹部候補生
4月 30日(日) 警視庁警察官Ⅰ類①
5月 8日(日) 5月県警
5月 15日(日) 海上保安学校生(特別)
5月 22日(日) 東京消防庁消防官Ⅰ類①
6月 5日(日) 皇宮護衛官or海上保安官
7月 10日(日) 7月県警
8月 28日(日) 東京消防庁消防官Ⅰ類②
9月 18日(日)警視庁警察官Ⅰ類②
1月 8日(日) 警視庁警察官Ⅰ類➂

※年度によって試験日程が異なるため、必ず最新の情報を自治体の案内からご確認ください。

上記の併願例は、あくまで1次試験の日程が被らなかった場合に併願を組んだ例です。自治体ごとの試験の傾向や試験日程を考慮して、無理なく対策可能な範囲で併願を組むようにしましょう。

4.警察官になるには?試験と対策を詳しく解説

第1次試験(筆記試験)

 教養試験(択一式)・論作文・適性検査などの、主に筆記試験が実施されます。1次試験合格者のみが2次試験に進むことができるため、まずはこの筆記試験の対策を万全にすることが求められます。

まずは、どのような出題形式・傾向・内容なのか調べておきましょう。警察官試験の科目数は多く、試験科目をじっくり学習するには膨大な時間を要します。したがって、出題数に応じて的を絞った学習が重要です。

出題傾向を知ることで効率的な対策を行いましょう。志望する自治体の試験についてできるだけ多くの情報を集めて、優先順位を決めて対策に臨むことをおすすめします。

教養試験(五肢択一マークシート式)

 

教養試験の配点一覧

一般知能科目…数的処理(数学的パズルや資料の読み取り問題)・文章理解(現代文・英文・古文の読解力を試す問題)が出題されます。
一般知識科目…中学・高校までに学習した内容(歴史・地理・生物・化学など)や法律・経済・時事が中心に出題されます。科目ごとの出題数は1~5問です。

数的処理

  • 傾向

    数的処理はどの試験においても教養試験の中で最も出題数の多い科目です。従って、教養試験突破のカギは数的処理の攻略と言っても過言ではありません。公務員受験対策予備校の受験生と独学の受験生との差がつき易い科目です。

  • 対策

    過去問分析を基に頻出問題の解法パターンを学び、繰り返し問題練習を行うことが大切です。公務員受験対策講座を利用することで問題が解けるだけでなく、1問あたりに掛ける時間を短縮することができます。

文章理解

  • 傾向

    文章理解は、現代文・英文・古文で構成されており、問題のレベルは大学センター試験レベルです。多くの受験生が得意科目にしている傾向にありますので、確実な得点力が求められます。

  • 対策

    文章理解は、読解のテクニック・選択のテクニック、即ち「コツ」を体得することで、確実な得点源とすることができる科目です。繰り返しの問題練習はもちろんですが、普段から新聞や小説などを読み、文章を読むことに慣れておくことも、有効な学習法のひとつです。

社会科学

  • 傾向と対策

    社会科学は、政治・経済・社会・法律といった科目で構成されている、一般知識科目の中で出題数が最も多い分野です。頻出テーマを中心に、万遍なく学習することが求められます。

人文科学

  • 傾向と対策

    人文科学は、世界史・日本史・地理・思想・文学芸術といった主に文系科目で構成されています。どの科目も1~3問程度の出題ですが、各科目の学習量が膨大なため、頻出テーマに絞った効率的な学習をすることが大切です。

自然科学

  • 傾向と対策

    自然科学は、数学・物理・化学・生物・地学といった主に理系科目で構成されています。文系の受験生を中心に苦手としやすい分野ですが、基礎的な事項からの出題も多いので、頻出テーマを中心にひととおりの学習をしておくことが大切です。

論作文試験

字数:600字~1,200字程度/時間:60~120分程度

 警察官としての職務に関する課題近年の犯罪に関する考察などが出題されます。
 まずは文章の書き方の基礎を学び、論作文の予想テーマや今までの出題テーマを実際に自分の手で書くだけでなく、書いた答案を第三者に見てもらい、評価・添削をしてもらうことが、上達のコツです。

警視庁 出題テーマ例(令和4年度)

これまであなたが人との関わりから学んだことについて触れ、今後それを警察官の仕事にどのように活かしていきたいか述べなさい。(1000字以上1500文字程度/90分)

適性検査

 警察官としての適性を見極めるために、クレペリン検査・性格検査などが課されます(試験によっては2次試験で実施の場合もあります)。

第2次試験(人物試験)

 すべての試験で口述試験(個別面接)体力検査など主に人物試験が課されます。2次試験の配点比率は、どの自治体でも高まる傾向にあります。1次試験を通過してから、2次試験の対策を始めるというスケジュールでは間に合わない受験生が多くなってきているのも事実です。したがって、筆記試験対策と並行して人物試験のための用意をしておく必要があります。

口述試験

 口述試験(個別面接)は、全ての警察官採用試験で課されます。 面接の質問は、質問カードを中心に行われ、志望動機や自己PRについて、色々な角度から質問がなされます。また、試験によっては、その日の新聞の一面の記事について意見を求められることもあるため、自己分析・仕事研究はもちろんですが、日々の生活の中で新聞やニュースにも気を配り自分の意見をまとめておくことも有効な面接対策の方法です。

面接の質問例

  • 志望理由
  • やりたい仕事(部署名・理由)
  • 自己PR
  • 大学生活(ゼミ・サークル活動・アルバイト)
  • 趣味
  • 併願状況

体力検査

 体力検査は、2次試験または1次試験でどの自治体でも課されます。体力検査の内容は自治体により異なりますが、腕立て伏せ・反復横跳び・バーピーテストなどが実施され、受験者の体力をチェックします。勉強はもちろん大切ですが、勉強の合間などに、リフレッシュの一環として、ある程度の筋力トレーニングを行うなどしておくことをおすすめします。

体力検査例

  • 腕立て伏せ
  • 腹筋
  • バーピーテスト(直立と腹ばいを繰り返す)
  • 持久走
  • シャトルラン(20m程度の往復持久走)

5.まとめ 警察官になるには?

盾を持つ警察官の後ろ姿

 警察官になるには、逆算されたスケジュールが必須です。まずは、試験日までどのくらい日数があって、どのくらいの学習量が必要なのか、さらに1日に捻出できる学習時間を整理してはじめて試験対策のスタートです。

つまり、難易度必要な学習量効果的な対策方法、優先順位等について「知ること」が重要なのです。独学の場合、そのような情報を一から自分で探らなければなりません。資格の学校TACであれば、高い合格実績をもとに作られたカリキュラムやテキスト、フォロー制度があります。公務員試験という「情報戦」を勝ち抜くために、自分に合った環境を整えることからはじめていきましょう。


TAC警察官・消防官講座担任 山口輝講師

この記事の著者 TAC警察官・消防官 担任 山口 輝 講師

 大学時代、公務員試験において多数合格者を輩出していた公共政策ゼミに所属し、国内を中心とする広範な社会問題についてグループプロジェクト型の研究を行ってきた。その後、大学院に進学し行政学(ガバナンス論)を専門に、公務員(官僚)と国民の相互作用について研究。特に、政策形成過程において公務員(官僚)がどのように関わり、責任を果たすのかといった行政責任論に及ぶテーマで論文を執筆した。現在は研究の成果を生かし、政治学系科目をメインに講義を担当。他にも、論文対策、面接対策の指導も行い、端的・的確な指導と持ち前の包容力で、受講生から熱い信頼を受けている。

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